フィリップ・パレーノ(Philippe Parreno 1964年 - )アルジェリア・オラン出身(フランス・グルノーブルにて幼少期を過ごす)の芸術家。サイトスペシフィックなインスタレーションや彫刻を制作し、環境を変容、意味の再構築、時間の経過/記憶/非言語的な物語の伝達法を探求する。他の芸術家や映像作家などとのコラボレーションやアートディレクションも行う。
初期作品では、テレビ番組や映画の映像を取り入れたビデオによる講義作品や、ピエール・ユイグとの共同制作「No Ghost Just a Shell」と題したビデオシーズなどを制作。2006年には、サッカー選手ジダンの「Zidane: A 21st Century Portrait」や2009年にはロバート・ケネディの「June 8, 1968」を制作。1983年から1988年までグルノーブルの美術学校にて学んでいます。1990年代にインスタレーション作品について論じたニコラ・ブリオーの「関係性の美学」の中で、多項に渡り取り上げられ一躍知られる。ここ日本では、2024年にポーラ美術館にて展覧会を開催、2025年に岡山芸術交流2025のアーティスティク・ディレクターに就任した。
本書は、2024年から2025年にかけて、ドイツ・ミュンヘンのHaus der Kunst Munchenと韓国・ソウルのLeeum Museum of Artにて開催された展覧会を機に刊行されました。
画期的な回顧展となるこの展覧会に付属して刊行されたこの書籍は、独自の創造プロセスを巡る旅として構想され、展覧会の原点であると同時にその対極ともいえる一冊です。書籍自体が展覧会であり、数十年にわたる芸術家活動を形作る生きたアーカイブです。
また、デザイナーM/M(Paris)が撮影とデザインを手がけ、従来の展覧会カタログの枠をこえて可能性を追求した書籍でもあります。イマーシブと織り混ざる意識の流れを体感する構成、テキストとイメージを融合させ、パレーノ作品によるの経験を印刷物に反映しています。
François J. BonnetとKim Choyeopによるテキスト、Sungwon KimとAndrea Lissoniの対談、Mathias Augustyniakの寄稿、パレーノ自身によるエッセイが収録され、François J. Bonnetは聴くことを能動的かつ流動的な出会いとして考察し、Kim Choyeopの短編小説では失われた「声」が記憶のアーカイブとなる世界を創造しています。これらの貢献は、パレーノ作品の音/時間制/相互に関連した経験をより広範な言説の中に位置付けます。批評的考察とスペキュラティブ・フィクションを通して、本書は、パレーノの言語、存在、知覚への探求をさらに深めています。
"The voice continues to generate itself… like a journey: we leave Seoul, move to Munich, and finally arrive in the desert." - フィリップ・パレーノ
この書籍は、静的な記録ではなく、独立した芸術作品として機能し読者をパレーノの世界観を形作る思想、歴史、亡霊のポリフォニーへと誘います。
出版社: M/M
タイプ: ハードカバー
言語: 英語
サイズ: 20.5 x 17 cm
ページ数: 464ページ
状態: 新品
その他: Graphic design by M/M (Paris)
刊行年: 2025年
ISBN: 9782918392163